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商売の原点とグローバル展開|西山製麺

西山製麺 西山社長
引用元HP:西山製麺
https://www.ramen.jp/company/message/
業界
食品製造業
主力
生ラーメン、冷凍めんなど
海外
ドイツ、スイス、アメリカなど
Niche
Top
Point
徹底した「伴走」スタイルで
札幌ラーメンを世界へ

国内外を問わず寄せられるラーメンに関する相談や製麺依頼に対し、単に商品を発送するのではなく、レシピ開発から店舗運営まで徹底して寄り添う「伴走型」の支援スタイルで応え続け、取引先は今や世界35カ国に。創業時の屋台から続く「食べる人の好みに合わせて麺を進化させる」開発力で、世界の食文化と融合する新しい市場を切り拓いています。

海外進出は「戦略」ではなかった。売り込みゼロで35カ国へ

現在、世界35の国と地域に展開されていますが、当初から海外進出を戦略的に狙っていたのですか?

いいえ。結論から言えば、グローバル展開をしようと思って始めたわけではありません。「美味しいラーメンを作りたい」という目の前の相談や依頼に応え続けていたら、結果としてグローバルになってしまった、というのが正直なところです。

こちらから海外へ「麺を買ってください」と売り込みに行ったことは、ただの一度もないのです。

西山製麺のラーメン
すべては一軒の屋台から。西山製麺の原点である味噌ラーメン
引用元HP:西山製麺
https://www.ramen.jp/oyakudachi/oishii/ramen/
売り込みなしで、どうやって販路が広がったのでしょうか?

すべて向こうからの「引き合い(相談)」です。

海外の方から「ラーメン店をやりたいのだが、相談に乗ってくれないか」「食材を供給してくれないか」というメールが届く。私たちはそれに対して、ただ食材を送るだけでなく、「どうすればその店が繁盛するか」を一緒に考え、支援し続けてきただけなのです。

具体的には、どのような支援をされているのですか?

相談があれば、まず札幌の我々の会社に来ていただきます。そこで試食をし、お客様が理想とする味を一緒に探し、レシピを開発し、調理指導まで行います。オープンの際には現地へ手伝いに行くこともあります。

私たちは自ら現地へ行き、お客様と一緒になって「繁盛店」を作る。店が繁盛すれば、そこで働くスタッフが独立し、また私たちに相談に来てくれる。この「師弟の連鎖」と「口コミ」だけで、地図が広がっていったのです。

サポート内容
味だけでなく、ブランディングまでをサポートする
引用元HP:西山製麺
https://kaigyou.ramen.jp/kaigyou/promotion-support/

「人に乞われて始まった」という創業のルーツ

なぜ、そこまで徹底して「お客様の相談に応える」スタイルを貫けるのですか?

それは、西山製麺の成り立ちそのものが、自分たちから始めたのではなく「人から乞われて」始まったものだからです。

原点は戦後すぐの札幌です。私の叔父がラーメン屋台を始め、そこに父(先代)が加わりました。当時、麺を作れる人が少なかったため、周りの屋台の人たちから「麺を分けてくれ」と頼まれるようになったのです。

自分たちの店だけでなく、他のお店のために麺を作り、届ける。そうして頼まれるがままに麺部門が忙しくなり、独立してできたのが西山製麺です。創業時から「お客様(ラーメン店)の要望に応えること」が私たちの仕事だったのです。

創業時から「お客様の声」が全てだったのですね。

はい。当時、私たちにはラーメン作りの師匠がいませんでした。だから、味の良し悪しを決める師匠は常に「お客様(札幌市民)」でした。

「寒いからもっとこってりしたスープがいい」「スープが絡むように麺を縮れさせてくれ」。そうした常連さんの声を聞いて改良を重ねた結果、今の札幌ラーメンの特徴である「味噌・こってり・縮れ麺」が生まれました。

「お客様の声を聞き、その繁盛をお手伝いする」。この創業時のDNAが、今の海外展開にもそのまま生きているのです。

調理実習の様子
開業希望者のオープン当初の調子サポートも行っている
引用元HP:西山製麺
https://kaigyou.ramen.jp/kaigyou/promotion-support/

輸出だけでは限界がある。現地生産へ踏み切る「5つのリスク」

2026年にはドイツ工場も稼働予定だと伺いました。なぜ今、現地生産に踏み切るのですか?

これまでは日本からの輸出で対応してきましたが、それだけでは限界があるからです。具体的には、5つのリスクを回避するためです。

1つ目は「為替」、2つ目は「物流」、3つ目は「保管コスト」のリスクです。特に最近はスエズ運河の問題などで輸送日数が不安定になり、それに伴って在庫の負担も増えています。

4つ目が「検疫」、5つ目が「関税」のリスク。世界的に保護主義の傾向が強まる中、いつ食品の規制や関税が変わるかわかりません。

こうしたリスクを回避し、安定してお客様に麺を届けるためには、現地に生産拠点を持つ必要があります。もちろん、日本素材の良さもありますので、今後は「日本からの輸出」と「現地生産」の二本立てで進めていく予定です。

現地の食文化と融合し、ラーメンはもっと面白くなる

今後の海外展開のビジョンなどはお持ちでしょうか?

ラーメンの歴史は、中国の麺文化に日本の醤油や味噌が融合して生まれました。これからは、世界各国の食文化と日本のラーメンが融合し、新しいスタイルが生まれていくでしょう。

すでにイタリアでは、カルボナーラやキノコソースを使ったラーメンが登場しています。そうした「現地化した新しいラーメン」が世界中で生まれる時、そのバックヤードには常に西山の麺がある。そんな存在でありたいですね。

ちなみに、いま私から一番遠いお客様は、南極の昭和基地にいらっしゃいます。南極からヨーロッパまで、世界中の「ラーメンを食べたい」という声に、これからも応え続けていきたいと思います。

西山製麺がサポートしたラーメン屋の外観
各国で行列ができるラーメンはもはや世界食として認知されている
引用元HP:西山製麺
https://www.ramen.jp/

悩むよりも、まずは現地へ。「商売の原点」は世界共通

最後に、海外進出を検討している経営者の方々へメッセージをお願いします。

海外進出というと、皆さん「特別な戦略」や「大きな投資」が必要だと思いがちですが、私たちは一度も“売り込み”に行ったことはありません。

商社さんの力を借りることももちろん大切です。ただ、すべてをお任せして「あとはお願いします」では、どうしても価格競争に巻き込まれてしまいます。大事なのは、自ら現地に立ち、「どうすれば目の前の店が繁盛するか」を一緒に考えることです。

その積み重ねが、結果として海外展開につながります。迷っている方こそ、ぜひ一度ご自身の足で現地へ。日本では気づけないヒントが必ず見つかるはずです。

Zenken株式会社 取締役本村 丹努琉
本村 丹努琉
Zenken株式会社
グローバルニッチトップ事業本部 取締役
8,000社超の集客・市場開拓支援をもとに「ニッチトップマーケティング」を体系化。
日本企業が海外で持続的に成果を上げるための戦略をリードしている。

「売り込みゼロ」でも広がるのは、商売の原点を貫いているから。

西山製麺さんのお話を伺って印象的だったのは、海外展開を「特別な戦略」として設計したのではなく、 国内と同じように「お客様の繁盛を一緒に考える」ことを徹底した結果として、35カ国に広がっているという点です。 こちらから売り込むのではなく、相談に来たラーメン店と向き合い、札幌での試食・レシピ開発から、 オープン当日の現地入りまで伴走する。この姿勢が、そのままグローバル展開の推進力になっています。

多くの企業が「海外はいつか」「まずは商社に任せて」と一歩目を先送りしがちな中で、西山製麺さんは、自ら現地に立ち、価格ではなく「繁盛づくり」で選ばれる関係を築いている。海外ビジネスを考えるすべての企業にとって、「特別なことより、原点をどこまでやり切れるか」が何よりの競争力になることを教えてくれる事例だと思います。

西山製麺の基本情報

西山製麺公式HPのキャプチャ
引用元:西山製麺公式HP(https://www.ramen.jp/)

1953年設立。「札幌ラーメン」の代名詞とも言える黄色い縮れ麺を開発した老舗製麺会社。戦後の屋台から始まり、顧客の声を聞いて麺を改良する姿勢を貫く。現在は「サッポロ西山ラーメン」ブランドで全国展開するほか、世界35カ国・地域へ麺やスープを供給。2026年にはドイツ工場の稼働を予定しており、グローバルニッチトップとして食文化の融合を推進している。

会社名 西山製麺株式会社
所在地 北海道札幌市白石区平和通16丁目南1-1
代表者 西山 隆司
設立 1953年(昭和28年)
事業内容 生ラーメン、中華皮類、乾燥ラーメン、タレ・スープの製造・販売
海外展開地域 ヨーロッパ、アメリカ、アジアなど35カ国・地域
公式サイト https://www.ramen.jp/

本記事はFM軽井沢のラジオ番組「軽井沢ラジオ大学」での対談を再構成しています

このインタビューは、FM軽井沢にて放送された「軽井沢ラジオ大学」 西山製麺株式会社 代表取締役社長 西山 隆司氏 × Zenken株式会社 取締役 本村 丹努琉 氏の対談をもとに編集しています。

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