ニーズを具現化する力|カンケンテクノ
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「ハンドメイド」の技術
燃焼式や吸着式が主流だった30年前、「これからはエコな電気の時代が来る」と信じて電気式排ガス処理装置に注力。電気ヒーター30年・プラズマ20年の蓄積と、一品一様(ハンドメイド)で顧客課題に向き合う姿勢が評価され、2020年には「グローバルニッチトップ企業100選」に選定されています。
パナソニックの中国進出への同行を起点に海外展開を開始し、社長自ら現地に溶け込む徹底した「現地化」で各国のニーズを把握。その国ごとに中身を作り替える電気式装置で、環境規制が先行するアジアで鍛えた技術を、これから規制強化が進む欧米市場でも強みに変えています。
大手への同行から始まった、意図せぬ海外展開
実は、最初から意図して海外を目指したわけではありませんでした。
きっかけは1980年代後半、私の父である先代社長の時代のことです。当時、私たちは松下電器産業(現パナソニック)様の工場の排ガス処理を100%任せていただいておりました。
その信頼関係があったからこそ、松下電器様が中国・北京にブラウン管工場を作ることになった際、「カンケンさんも一緒に来てほしい」と声をかけていただいたのです。
はい。当時はまだ私も入社前でしたが、最初は納入した装置のアフターサービスを行うために、現地の事務所を置いたのが第一歩でした。
しかし、いざ現地に行ってみると、パナソニック様の工場増設に伴う追加注文や、その評判を聞きつけた他の企業からも次々と依頼をいただくようになりました。そこで1990年代半ばに正式に現地法人を設立し、本格的な海外展開が始まったのです。
中国、シンガポール、台湾……。私たちの海外拠点の多くは、お客様から「こっちに工場を作るから来てくれ」と呼ばれて作ったものばかりです。お客様に恵まれ、導かれるように世界へ出ていったのが実情ですね。
日本での“口コミ”が、アジア・アメリカへのパスポートに
そうなるまでには、実は長い「雌伏の時」がありました。
私たちが主力の「電気式」装置を出したのが1993年。しかし、当時は「燃焼式」が主流で、最初は全く売れませんでした。それでも先代は「必ず電気の時代が来る」と信じて技術を磨き続けました。
風向きが変わったのは、パナソニック様をはじめ、ソニー様、東芝様、ローム様といった「新しい技術を積極的に試してくれる」大手企業様が採用してくださってからです。「無名だけど、技術は確かだ」という評価をいただき、それが口コミで国内に広がっていきました。
はい。その日本のお客様たちが、今度は台湾のTSMCやシンガポールなどの海外工場へ進出する際に、「関研さんも一緒に来てくれ」と声をかけてくださったのです。
私たちが自ら海外へ営業をかけたわけではありません。日本で磨いた「電気式30年・プラズマ20年」という技術と、国内で築いた信頼関係。これらがそのまま、世界へのパスポートになったのです。
「日本の常識」が通用しない壁
いいえ、そんな単純なものではありませんでした。
実際に行ってみると、国ごとに環境規制も違えば、商習慣も全く異なります。日本で完璧だと思っていた装置をそのまま持ち込んでも、現地のルールやニーズには合わないのです。
ですから、私たちは現地で徹底的にカスタマイズを行いました。中国向け、アメリカ向け、日本向け……外から見れば同じ装置に見えますが、中身はそれぞれの国の事情に合わせて全く違うものに作り変えています。
私が一番大切にしているのは、「その土地の人間になりきる」ということです。
出張で2〜3日、あるいは1週間滞在したくらいでは、その国の本当のことは分かりません。ネットやテレビの情報だけでも不十分です。
だから私は、その国に行ったら「自分はそこの住人だ」と決めて行動します。例えば中国に駐在していた8年間は、現地の言葉を話し、現地の食事をとり、「私は北京人だ」と周囲に公言して生活していました。
はい。食事も習慣も、最初は合わなくて当然です。でも、そこで壁を作らず、現地の人と同じものを食べ、同じ生活リズムで暮らし、苦楽を共にする。
そうやって相手の懐に入り込み、現地の人の気持ちになって初めて、「本当に求められているものは何か」が見えてくるのです。この「心の現地化」こそが、グローバル展開における最も重要な鍵だと確信しています。
環境対策は「欧米」より「アジア」が進んでいる
実は、一般的に思われているイメージとは逆の現象が起きています。
環境対策と言えばアメリカやヨーロッパが進んでいると思われがちですが、排ガス処理に関しては、実は彼らはまだ古い「燃焼式」が主流なんです。一方で、中国や台湾などのアジア圏は、環境への危機感が強く、最初から最新の「電気式(ヒーターやプラズマ)」を導入しています。
そうです。ですから、私たちは2年前にアメリカへ進出しましたが、「今から行って間に合うのか?」ではなく、「今から行けば圧勝できる」という状況でした。
私たちは電気式で30年の実績があります。これから規制が厳しくなり、電気式への転換を迫られる欧米市場に対して、アジアで磨き上げた技術を持って優位に参入できる。今、大きなチャンスが目の前にあると感じています。
通訳なしで飛び込む。「スモールカンパニー」の強さ
私たちは大企業ではありません。だからこそ、海外に行く社員に通訳をつける余裕なんてありません(笑)。
私自身もそうでしたが、言葉もわからない状態でポンと現地に放り込まれる。最初はホテルのフロントでトイレットペーパーをもらうのさえ必死です。でも、そうやって冷や汗をかきながら自分で切り拓く経験が、何より人を成長させます。
「スモールカンパニー」だからこそ、若いうちから修羅場を経験できる。その逞しさと、社員全員がファミリーのような一体感を持っていること。これこそが、関ケンテクノが世界で戦える本当の理由かもしれません。
データではなく「生活」を見て、未開拓の市場へ
多くの方は「欧米は進んでいる」と思い込んでいますが、私たちが直面したように、分野によっては日本やアジアの方が進んでいるケースは多々あります。これは排ガス装置に限った話ではなく、皆さんの業界でも必ずあるはずです。
だからこそ、2〜3日の出張やネットの情報だけで「分かった気にならない」でほしいのです。「アメリカだから凄いだろう」という先入観を捨てて、現地の人と同じ生活をし、懐に入り込んでみる。
そうすれば、データには載っていない「意外な勝機」が必ず見えてきます。まずは経営者自身が現地に飛び込み、その国の「住人」になってみてください。

グローバルニッチトップ事業本部 取締役
日本企業が海外で持続的に成果を上げるための戦略をリードしている。
「日本のやり方」をそのまま輸出せず、現地の生活から価値を組み立てる。
多くの日本企業が、国内で成功した方程式をそのまま海外に持ち込んで苦戦する中で、 関検テクノさんは真逆のアプローチを続けてきました。まずはお客様と同じ場所に立ち、 同じ生活者として現地を理解し、そのうえで「その国で本当に求められる装置とは何か」を 一件一件カスタマイズして形にしていく。電気式30年・プラズマ20年という先見性のある技術に、 この“なりきる力”が掛け算されて、グローバルニッチトップの地位が築かれていると感じます。
海外展開と聞くと、戦略やスキームの話になりがちですが、机上のデータや短期出張だけでは見えない ギャップやチャンスを、自分の足で確かめに行くことが出発点なのだと、改めて教えていただきました。 日本には、技術も人材も揃っているのに一歩を踏み出せていない企業がまだまだあります。 関検テクノさんの挑戦は、そうした企業にとっての心強いロールモデルになるはずです。
カンケンテクノの基本情報
1978年設立。京都を拠点とする大気環境保全装置の専業メーカー。半導体や液晶パネルの製造工程で排出される有害ガスを無害化する「排ガス処理装置」を主力とする。創業当初より、環境負荷の低い「電気式」技術にこだわり、顧客のニーズに合わせた一品一様の製品開発と、研究開発からメンテナンスまで行う一貫体制を強みとする。2020年版「グローバルニッチトップ企業100選」に選定されるなど、高い技術力で世界のモノづくりを支えている。
| 会社名 | カンケンテクノ株式会社 |
|---|---|
| 所在地 | 京都府長岡京市神足太田30-2 |
| 代表者 | 今村 浩一 |
| 設立 | 1978年12月 |
| 事業内容 | 排ガス処理装置(電気ヒーター式/電気プラズマ式)、環境保全装置の研究開発・設計・製造・販売・アフターサービス |
| 海外展開地域 | アジア(中国・台湾・シンガポール・マレーシア等)、アメリカ、ヨーロッパなど7カ国・地域(海外サービス拠点:30カ所) |
| 公式サイト | https://www.kanken-techno.co.jp/ |
本記事はFM軽井沢のラジオ番組「軽井沢ラジオ大学」での対談を再構成しています
このインタビューは、FM軽井沢にて放送された「軽井沢ラジオ大学」 カンケンテクノ株式会社 代表取締役社長 今村 浩一氏 × Zenken株式会社 取締役 本村 丹努琉 氏の対談をもとに編集しています。
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